彩都西のレンガテラス / Brick Terrace in Saito-nishi, 大阪/Osaka (2016)

敷地は数年前住宅メーカーによって分譲された彩都西、大阪モノレールの終点にある。このプロジェクトはその住宅メーカーによって建てられた一住宅のテラスの改修である。もともと条例で厳しく植栽を義務づけされていたエリアであったため、そこも緑豊かな庭であったが、夫婦共働きの上、その植栽と芝生の維持に時間を取られ、またリビングの延長として使うにも難しく、クライアントにとっては長年悩みの種であった。そこで条例が改定されたのを機に、統一感を持ったアクティブに使えるテラスにするため、テラスの床と壁を同一材料、レンガで構成することにした。そのレンガは透水性を保ち、また強度も強いため、このプロジェクトに最適であった。大きな木は適切な場所へ移植し、レベルの違う床はレンガを積むことで安定し、それまで難しかった各アクセス(ガレージ、リビング、玄関、裏動線)の問題も同時にクリアできた。境界壁は面する道路からの高さの違う視線を意識し、見る・見られる距離感や関係性を試しながら高さを決定した。またレンガ間に隙間をもって積むことによりセミオープンな壁となり、材料が持つ特徴あるマッシヴさによる閉塞感を緩和させている。そして、レンガの穴がズレていることによって、その穴に鉄筋を通しながらも、隙間の広がりとレンガのずれがランダム性をつくり出し、ユニークな表情をもつファサードとなっている。また控壁の上にはFRPグレーティングをおいてベンチとしている。結果、住宅メーカーの住戸の中にレンガの塊が差し込まれた非常にマッシヴな印象を与えている。

用途 : テラス、ポーチ

延床 : 48㎡

構造設計 : 株式会社 エス・キューブ・アソシエイツ (京都)

施工 : 奥井造園土木 (大阪)

レンガ : 株式会社 水野製陶園 (愛知)

写真 : 市川靖史

制作協力 : 真鍋遥