北白川の角家 / The Corner House in Kitashirakawa, 京都/Kyoto (2014)
敷地は京都・北白川、大文字が間近に見え、狭い前面道路を挟んだ前方は自然豊かなオープンスペース、隣は児童公園のため、実質的に街区の角地である。 そういった場所に建つ建築の在り方として、特に屋根に着目し設計を行った。ここでは建物に適切な屋根を架けるというよりも、むしろ敷地に対して適切な屋根をプログラムとは切り離してデザインした。これは同時に、形骸化している京都市内の景観条例(勾配屋根、軒先、けらば、材料、色彩、高さなどの要素)に対して、歴史的な街の景観を本質的に検討した回答例でもある。
内部は、主な時間を過ごす二階が、三階や大きく張りだした象徴的な天井も含め開放的に一体化されたワンルーム的スペースとなり、さらに仕上やデザイン操作も統一感を与えている。四周には厚み(奥行き)をもったベルトのようなものが取り付き、それが内部からアクセスする収納や外部からの植栽や彫刻を置いたりするスペース、ベンチや庇となり空間をより豊かにしている。このちょっとした奥行きが距離感や内外を曖昧にし、テラスや公園、オープンスペース、遠くは東山へと視線が繋がっていくよう計画されている。
用途 : 専用住居
延床 : 132㎡ (テラス・ロフト込)
構造 : 鉄骨造(一部RC造)
構造設計 : 株式会社 エス・キューブ・アソシエイツ (京都)
施工 : 株式会社 TEN planning (大阪)
家具製作 : pivoto (京都)
写真 : 市川靖史
制作協力 : 岩瀬功樹、雪谷亮太